AS3ライクにコーディングできるHTML5開発支援フレームワーク「Arctic.js」を触ってみました

AS3ライクにコーディングできるHTML5開発支援フレームワーク「Arctic.js」を触ってみました

Clock Icon2012.01.27

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Arctic.jsとは

Arctic.jsは、ActionScript3ライクに記述できる、主にゲーム開発で使用することを目的とした
HTML5開発支援フレームワーク(JavaScriptライブラリ)です。
ディー・エヌ・エー(DeNA)が自社アプリ開発用に社内で使われていたようですが、2012年1月24日にオープンソース化されました。
Mobageの「ガンダムロワイヤル」などで使用されているとのことです。
ライセンスはMIT Licenseで提供されています。
以下のような特長があります。

  • 豊富なアニメーション作成支援機能
  • 表示ツリー、イベント伝播モデル
  • ActionScript3.0*4と近いAPI による、Flash 開発経験者の学習負担軽減
  • 各種スマートフォン OS の断片化を吸収し、開発工数を大幅に削減

※ DeNA株式会社様のプレスリリースより抜粋させていただきました

Arctic.jsを触ってみる

1.まずはダウンロード

まず下記の「Downloads」からダウンロードしましょう。
https://github.com/DeNADev/Arctic.js

2.HTMLに読み込む

ダウンロードしたzipを解凍します。「arctic.js」というファイルが本体です。
HTMLファイルを作成し、以下のようにライブラリとして読み込みます。

<html>
<head>
<script type="text/javascript" src="arctic.js"></script>
</head>
<body>
</body>
</html>

3.ゲームクラスの作成

次に、arc.Gameクラスを継承したクラスファイル「game.js」を作ります。これが最初に読み込むクラスになります。
arc.Class.create()メソッドを使って継承クラスを作り、initialize(), update()メソッドを実装します。
initialize()メソッドはインスタンス生成時、update()メソッドはフレーム更新ごとに呼ばれます。
また、initialize()メソッドに引数を渡すこともできるので、ゲーム開始時にデータを渡すことができます。

var GameMain = arc.Class.create(arc.Game, {
  // インスタンス生成時に呼ばれるメソッド
  initialize:function(){
  },
  // 毎フレームごとに呼ばれるメソッド
  update:function(){
  }
});

4.ゲームクラスを開始する

作成したGameMainクラスを以下のような手順で開始します。

① 予め作成したhtmlファイルにgame.jsファイルを読み込みます。
② canvasを作成し、idを振っておきます(例ではgameCanvasとしました)。
③ DOMContentLoadedのタイミングでarc.Systemインスタンスを生成し、引数にcanvasのidをセットします。
④ setGameClass()メソッドでGameMainクラスをセットします。ここで第二引数にデータを渡すことができます。
⑤ start()メソッドで開始し、GameMainクラスのinitialize()メソッドが走ります。

ソースは以下のようになります。今回はhtml内に書きましたが、game.js内にも記述することができます。

<html>
<head>
<script type="text/javascript" src="arctic.js"></script>
<!-- ① game.jsの読み込み -->
<script type="text/javascript" src="game.js"></script>
</head>

<script type="text/javascript">
<!--
window.addEventListener('DOMContentLoaded', function(e){
      // ③ DOMContentLoadedのタイミングでarc.Systemインスタンスを作成
      var system = new arc.System(300, 300, 'gameCanvas');
      // ④ ゲームクラスをセット(引数を渡す)
      system.setGameClass(GameMain, {hp:300, mp:100});
      // ⑤ ゲームを開始する
      system.start();
    }, false);
-->
</script>

<body>
<!-- ② canvasの作成 -->
<canvas id="gameCanvas"></canvas>
</body>
</html>

5.あとは自由に作る(AS3っぽく)

ここまでできれば、あとはGameMainクラスのinitialize()メソッド内から
表示オブジェクトを置いたり、アニメーションさせたりすることができます。
表示オブジェクトの表示方法などはActionScript3とほぼ一緒なので、とても簡単です。
お試しということで、いろいろと描いてみました。

GameMain.js

var GameMain = arc.Class.create(arc.Game, {
initialize:function(params){
    // 引数のオブジェクトからデータを取得
    var string = "HP:" + params.hp + " MP:" + params.mp;
    console.log(string);

    // Shapeオブジェクトで円を描画
    var shape = new arc.display.Shape();
    shape.setX(25);
    shape.setY(30);
    shape.beginStroke(5.0, 0xcccccc, 1.0);
    shape.beginFill(0x00bfff);
    shape.drawCircle(100, 100, 100);
    shape.endFill();
    this.addChild(shape);

    // テキストの作成
    var text = new arc.display.TextField();
    text.setX(150);
    text.setY(20);
    text.setAlign(arc.display.Align.CENTER);
    text.setColor(0xffa500);
    text.setFont(null, 14, true);
    text.setText(string);
    this.addChild(text);

    // アニメーションさせてみる
    var target = new arc.display.Shape();
    target.setX(0);
    target.setY(0);
    target.beginFill(0xff69b4);
    target.drawCircle(25, 25, 25);
    target.endFill();
    this.addChild(target);
    var anim = new arc.anim.Animation(target,
            {x:0, y:0, time:1000, transition:arc.anim.Transition.SINE_OUT},
            {x:125, y:125, time:1000, transition:arc.anim.Transition.SINE_OUT});
    anim.play(true);
},
update:function(){
}
});

実行結果

※ 実際に動作させるとピンクの円がアニメーションします

まとめ

今回はオープンソース化されたばかりのArctic.jsの導入部分をご紹介しました。いかがでしたでしょうか?
スマホ向けのソーシャルゲームのアニメーションではFlashよりJavaScriptが採用される傾向にありますが
Arctic.jsを使うことにより、JavaScriptのスキルがなくても低コストで実装することができます。
ゲームがメインターゲットとなっていますが、個人的には他の用途(例えばホームページのトップコンテンツなど)でも使えそうな気がしました。
ActionScript3に経験があるかた、ぜひ触ってみてください!

参考

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